鰹節やだしになる「カツオ」の第2回は、カツオの回遊ルートについてです。
鰹の回遊ルート~日本近海に来るのは2歳くらいの鰹の一部
魚の水揚げ場所というのは、前述の通り、魚がその場所を泳いでいたという意味ではありません。では鰹はどこを泳いでいるのでしょうか。これは正確ではないにしても、おおよその場所はわかっているようです。
鰹の主な産卵場所は南太平洋(赤道付近:ミクロネシア連邦・カロリン諸島・マーシャル諸島周辺など)で、回遊後戻ってくるのもこのあたりになるので、この場所には卵~老年鰹まで幅広く生息しているものと思われます(日本付近の産卵場所は小笠原や沖縄以南だろうといわれています)。
南洋から日本近海にやってくるのはだいたい2歳くらいの鰹で、南西諸島の方角からやってくるルートと、南洋から小笠原・伊豆諸島を経てやってくるルートと大きく2種類あるようです。
それぞれ日本近海にやってくる時期が異なり、南西方面からやってくるものが3月ごろ日本近海に達し、小笠原・伊豆ルートのものは、5月ごろ日本近海に達するといったように、すべてが南西方向から北東方向に流れてくるのではなく、日本近海にやってきたらそのまま南下して帰っていくものもあります。
ただ、日本の房総沖にやってきた(6月ごろ)ものはさらに北上するものもあり、それが三陸、北海道沖まで上ってから南下します。この南下しはじめたものが戻りカツオと呼ばれます。
北上しながら餌をたくさん食べてから帰っていくので、帰りのカツオは行きよりも太っていて脂が乗っていておいしい、ということで戻りカツオは人気なのですね。
逆に脂の乗ったまるまる太ったカツオは鰹節には向かないそうで、戻りカツオだけでなく、北上しきったカツオも鰹節にはならないと思ってよさそうです。
さて、日本近海にやってきた2歳の鰹は、ここで捕まらなければ(?)また来年3歳になってやってくることもありそうですが、3歳の鰹はもうそれほど日本の近くにはやってきません。日本のかなり南まで来たら帰ってしまうようです。さらに歳をとっていくと、それほど北上しなくなり、結局南洋の生息地付近をぐるぐると泳いでいる、ということになります。
したがって、日本近海にやってきて獲られたカツオの安全性を考えるなら、2歳になってはじめて日本近海にやってきたカツオで、西日本で獲れたものなら汚染海域は泳いでいないのではないかと推測できます。とはいっても、2歳なのか3歳なのかは正確にはわかりませんよね。