カツオというのは、お刺身やタタキなど生で食べる以外に、鰹節や粉末だし、ふりかけなど幅広く使われています。むしろ生食よりも味噌汁や煮物などのおかずに使うことで毎日口にしているといってもよいかもしれません。
このように毎日のように食べているものにもかかわらず、カツオは回遊魚ということで、一体どこを泳いでいたものなのかよくわからないので不安という人が多いと思います。
ということで、だしや鰹節になる「カツオ」について調べたことを簡単にまとめてみました。
第1回目は生鮮食品のカツオと鰹節の原産地表示についてです。
カツオの原産地表示~水域表示が奨励されるも水揚げ漁港でもよし
まず生鮮食品であるカツオは原産地の表示義務がありますが、魚の場合、その魚が取れた場所(漁場・水域)ではなく水揚げ漁港の表示でもよいことになっています。最近では水域を表示するように、と水産庁が奨励していますが、あくまでも奨励です。
ですので、たとえばカツオが静岡の焼津産、鹿児島の枕崎産といってもそれはあくまでも水揚げされた場所であって、漁場は異なるわけです。ただ、そもそもカツオが焼津や枕崎にばかりウヨウヨと泳いでるわけはなく、漁場が異なることは想像がつきますよね。
ただ、放射能汚染の観点からいうと、実は鰹節のカツオの場合、カツオの産地表示は大した問題ではないといえます(詳しくは後述)。
鰹節(けずり節)の原産地表示~鰹節の製造工程がポイント
鰹節(けずり節)の場合、「削りぶし品質表示基準」というもので原産地表示が義務付けられています。ただ、何をもって原産地とするのかははっきりしないようです。はっきりしないというか、今後考え直そうという段階に入っているようです。
現行では(削りぶし品質表示基準)、鰹節を作った場所(下記【B】)を原産地とするのが一般的です。この工程で、魚の鰹の状態から鰹節へと原料の性質が大きく変わるからというのが根拠のようです。
しかし、一昨年(平成22年)には、消費者庁が鰹節の原産地についての意見交換会を開いており、下記【A】、【B】、【C】のどこが適切かという意見交換がなされています(水産加工組合や鰹節の業界団体、鰹節メーカーなど)。
現在のところ、特に決定した気配はなく、業界で自主的な基準を作って対応しているようです。
【A】鰹節の製造工程のうちの前工程
生のかつおを解体・煮て「なまり節」にした場所
【B】鰹節の製造工程のうちの後工程
「なまり節」から焙乾(薪などを燃やしてその熱・煙で乾燥)して「ふし(カチカチの鰹節の状態です。)」にした場所→現在はこの場所が原産地
その後カビ付けをして天日干しを繰り返したものは「枯れ節」といいますが、この枯れ節は日本でのみ作るものらしく、故に原産地表示義務がないそうです。
【C】鰹の漁獲場所
ということで、今のところ、鰹節やそれを削った削り節の原産地といった場合、かつおのふしが作られた場所ということになります。
つまり、枕崎産鰹節といったら、なまり節から鰹節に加工された場所が枕崎ということになります。とはいっても、鰹節の産地として有名な鹿児島県枕崎、静岡県焼津などは、日本でも有数の鰹の水揚げ漁港です。鰹節の産地として有名なのも、そこで水揚げされた鰹を使って鰹節を作っているからで、鰹節の鰹に関して言えば、たいていは水揚げ場所が加工場所だと思ってよいのかもしれません。